踊る小人

亀甲石みたいに

「十五番で爪つけをしてる子」と彼は教えてくれた。「でもくどくつもりならあきらめたがいいぜ。亀甲石みたいに硬いからな」
(『蛍・納屋を焼く・その他の短編』収録)

心の中にある普段使われていなくて、そんなものがあることを本人さえ気づかなかったような

小人の踊りは他の誰の踊りとも違っていた。ひとことで言えば小人の踊りは観客の心の中にある普段使われていなくて、そんなものがあることを本人さえ気づかなかったような感情を白日のもとに—まるで魚のはらわたを抜くみたいに—ひっぱり出すことができたのだ。
(『蛍・納屋を焼く・その他の短編』収録)

引用:『踊る小人』 村上春樹