1973年のピンボール

涸れた井戸に石でも放り込むように

彼らはまるで涸れた井戸に石でも放り込むように僕に向って実に様々な話を語り、そして語り終えると一様に満足して帰っていった。

段ボール箱にぎっしりと詰め込まれた猿の群れを思わせた

誰もが誰かに対して、あるいはまた世界に対して何かを懸命に伝えたがっていた。それは僕に、段ボール箱にぎっしりと詰め込まれた猿の群れを思わせた。僕はそういった猿たちを一匹ずつ箱から取り出しては丁寧に埃を払い、尻をパンと叩いて草原に放してやった。

引用元:『1973年のピンボール』 村上春樹