氷男

なんだかずっと遠くの方で風の音でも聞こえたみたいだな、というような

あなたはスキーはしないのですか、と私はなるべくさりげない声を出して氷男に尋ねた。彼はゆっくりと顔を上げた。なんだかずっと遠くの方で風の音でも聞こえたみたいだな、というような顔つきで。
(『レキシントンの幽霊』収録)

氷男は暗闇の中の氷山のように

自分の年齢さえわからない。自分に本当に年齢があるのかどうかさえ知らない。
氷男は暗闇の中の氷山のように孤独だった。

引用:『氷男』 村上春樹